EKS で Kubernetes 1.37、Metrics API の v1 GA と HPA ゼロスケールの条件
Amazon EKS の Kubernetes 1.37 で変わる Metrics API、DRA device taints、HPA ゼロスケールの条件と、アップグレード前に cluster insights で確認する点を整理する。
Amazon EKS の Kubernetes 1.37 で変わる Metrics API、DRA device taints、HPA ゼロスケールの条件と、アップグレード前に cluster insights で確認する点を整理する。
Amazon EKS で Kubernetes 1.37 が使えるようになった。AWS の発表は2026年10月2日付で、新規クラスタの作成と既存クラスタのアップグレードの両方が対象だ。EKS が提供されている全リージョンで使え、AWS GovCloud (US) リージョンも含まれる。
アップグレード前に見ておくべきなのは、発表が挙げる3つの変更だ。HPA と kubectl top が依存する Metrics API が metrics.k8s.io/v1 として GA になり、DRA の device taints も GA になった。HPA のゼロスケールは beta になり、minReplicas: 0 かつ object / external metrics を使う autoscaler で既定有効になった。上げる前の確認手段として、AWS は EKS cluster insights を案内している。
| 変更 | 1.37 での扱い | 関係するクラスタ |
|---|---|---|
Metrics API(metrics.k8s.io/v1) | GA | HPA や kubectl top を使っている |
| DRA device taints / tolerations | GA | DRA で GPU などのデバイスを割り当てている |
| HPA scale-to-zero | beta、既定で有効 | minReplicas: 0 と object / external metrics を組み合わせる |
出典:AWS What’s New「Amazon EKS and Amazon EKS Distro now support Kubernetes version 1.37」(2026年10月2日)
Metrics API は Pod とノードの CPU・メモリ使用量を返す API で、Horizontal Pod Autoscaler と kubectl top がこれを使う。1.37 でこの API が metrics.k8s.io/v1 として GA になった。CPU やメモリを指標にした HPA は、この API から値を受け取っている。
発表は、これまでの API バージョンがどう扱われるかや、値を提供する側のコンポーネントに必要な対応には触れていない。API バージョンを明示して Metrics API を叩く監視スクリプトや自作ツールがあるなら、1.37 でもそのまま通るかは Kubernetes のリリースノートと照らしてから上げたほうがいい。
DRA(Dynamic Resource Allocation)の device taints と tolerations も GA になった。管理者や DRA ドライバが GPU などのデバイスに taint を付けると、スケジューラはそのデバイスを避け、toleration がある場合だけ使われる。
この機能は、DRA でデバイスを割り当てていないクラスタには関係しない。DRA を使っているなら、特定の GPU を割り当て対象から外したい場面で使える。別の GA 項目は DRA の Extended Resource 対応の記事で扱った。
HPA のゼロスケールは beta になり、既定で有効になった。対象は minReplicas: 0 を設定し、かつ object metrics か external metrics を使う autoscaler だ。アイドル時にワークロードを Pod 0個まで縮め、需要が戻ればまた増やす。
この条件から、CPU やメモリだけを指標にした HPA はゼロスケールの対象に入らない。既定で有効になったことで、すでに動いている HPA の挙動が変わるかどうかは発表に書かれていない。機能の条件は HPA ゼロスケールの記事でも整理している。
アップグレードの経路は、EKS コンソール、eksctl、または IaC ツールの3つが挙がっている。どれを使うにしても、先に EKS cluster insights でアップグレードに影響しうる問題がないかを確認するよう AWS は案内している。
順番としては次のようになる。
kubectl top 以外に Metrics API を直接使う仕組みがないか洗い出すminReplicas: 0 を使いたい HPA があるかを確認するcluster insights が 1.37 向けに具体的に何を検出するかは、発表からは分からない。EKS Distro を使っている場合、1.37 のビルドは ECR Public Gallery と GitHub で配布されている。各バージョンのサポート期間は EKS のバージョンライフサイクルポリシーで決まるので、1.37 に上げるかどうかの判断と合わせて確認しておきたい。