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S3 Object Lock の event hold は解除後に保持が始まる、リーガルホールドとの違い

2026年9月8日に追加された event hold は、契約完了や監査終了のような将来の事象を起点に WORM 保持を始める。リーガルホールドとの保護の終わり方の違いと、hold の設定・解除を縛る条件キーを整理する。

「監査が終わるまでは消させない」という保持要件を、S3 Object Lock の機能だけで書けるようになった。2026年9月8日に追加された event hold は、保持期間の起算点を将来の事象に置く。オブジェクトに保持期間付きの hold を置くと、hold がある間は S3 がそのオブジェクトを保護する。hold を外すと、そこから指定した期間だけ保持が続く。告知の見出しにある variable retention は、WORM(write-once-read-many)保護の起算点が固定でなくなったことを指している。

影響があるのは、起点が未定の保持要件を長めの固定期間で代用してきた運用だ。契約の締結や監査の完了がいつになるか分からないなら、余裕を見た期間を最初から積むしかない。event hold は事象の後ろに期間を置くので、方針が求める以上に長く持たずに済む。

リーガルホールド自体の保護は解除で終わる

AWS の告知は両者の差を一点に絞っている。リーガルホールド(legal hold)自体が提供する保護は、解除した時点で終わる。event hold は解除した時点を起点にして、置くときに指定した期間だけ WORM 保護を続ける。別の retention mode が同じオブジェクトに設定されている場合、その保護まで解除と同時に消えるとは限らない。今回の告知は併用時の優先関係を説明していない。

hold がある間は保護されるという点は両方に共通する。事象が来るまで消させない、という性質だけならリーガルホールドでも作れる。差が出るのは外したあとだ。

リーガルホールドで事象起点の要件を満たすには、事象の発生を検知して解除し、改めて保持期間を設定する操作が要る。event hold は期間を hold と一緒に先に書いておくので、事象のときにやることは解除に寄る。

解除したあとの扱い保持期間の指定
リーガルホールドリーガルホールド自体の保護は解除で終わる。別の retention があればその保護は別に残りうる告知に記載なし
event hold指定した期間が経過するまで保持が続くhold を置くときに retention duration を指定

出典:AWS「Amazon S3 Object Lock now supports variable retention with event holds」(2026年9月8日付)

hold を置ける人と外せる人を分ける

新しい IAM とバケットポリシーの条件キーが入った。hold を設定できる主体と解除できる主体を制御でき、hold の期間に下限と上限を強制できる。

下限と上限の強制は、hold を置く操作が自動化に入るときに効く。パイプライン側が短すぎる期間を入れても、ポリシーで弾ける。保持方針の数字を人の手順書ではなく API の入口に置ける、ということになる。

条件キーの名前と値の形式は告知に出ていない。先に決めるべきは、解除を許す主体をどこまで絞るかだ。event hold の解除は保持期間の開始操作でもあるので、誤って外したときの影響は、保護が消えることではなく時計が早く回り始めることになる。

適用の入れ方は3通り

  • 個別のオブジェクトに置く
  • バケットの既定として設定する
  • S3 Batch Operations でまとめて適用する

既存のオブジェクト群に後から付けるなら Batch Operations、これから入ってくる分はバケット既定で拾う形になる。

両方を使う運用では、既定の期間と Batch で入れた期間が食い違わないかを先に見ておく。

操作は CloudTrail、状態は S3 Inventory

hold の操作はすべて CloudTrail に記録される。バケットをまたいだ hold の状態は S3 Inventory レポートに出る。監査で問われる「いつ誰が外したか」と「今どれが保護下にあるか」は、前者が CloudTrail、後者が Inventory と取得経路が分かれている。

告知は Cohasset Associates の評価に触れ、対象として SEC Rule 17a-4(f)、FINRA Rule 4511、CFTC Regulation 1.31 を名指ししている。評価の内容そのものは告知に要約されていない。

今日の作業は権限設計に寄る

既存の retention や legal hold の挙動が変わったという記述は告知にない。提供は全 AWS リージョンで、China Regions を含み、追加料金はない。入れるなら、event hold を解除できる主体と期間の上下限を決めて条件キーで固定するところからになる。

起点が決まらない要件を長い固定期間で代用している運用は、その固定分を削れる見込みがある。ただしこれは告知の文面から読める範囲の推測で、既存の保持設定と event hold を併用したときにどちらが優先されるかは告知に書かれていない。

出典 種別について